The World is Ever Changing
K**.
ニコラス・ローグの“心の声”が聞こえてくる
本書は15の章から構成され、筆者(ニコラス・ローグ)が自分の仕事を振り返りつつ各々の章のテーマに沿いながら、考えを述べていくというスタイルで、ニコラス・ローグの映画哲学の端緒を伝える貴重な本となっています。本書のなかで筆者が繰り返して言っている言葉があります。それは「すべてのものはつながっている」です。「あなたには自分自身の物語があり、同時に誰かの物語とつながっています」とローグは主張します。英国人であるニコラス・ローグは1940年に空軍に志願し、空挺部隊に入隊、第16独立パラシュート旅団に所属したものの戦争が終わり、アパートの向かいにあった映画スタジオのオーナーの息子と知り合いだった縁で、メリルボーン・スタジオに入ったのがきっかけで映画に染まることになります。その後、メリルボーン スタジオのオーナーの友人であるデ レーン リー少佐が経営する編集室に移ります。そこがのちの「デ レーン リー DE LANE LEA」となり、ここはポストプロダクションで非常に有名な場所になったスタジオだと説明されています。事実デ レーン リーは、2012年にワーナーブラザースに買収されるまで、英国のメジャーなレコーディング・スタジオ/サウンド・ポストプロダクションとして成功してきた輝かしい歴史をもちます。用語説明: ポスト プロダクションというのは、撮影を映画製作工程の前半とするなら、撮影されたフィルムを使って編集・特殊効果・合成・音処理・字幕、などを行い完成品にするまでの後半の「後処理」工程全体を指す用語であり、撮影を「プロダクション」と呼ぶことから、撮影の後処理を「ポスト プロダクション」と総称しています。メリルボーンでは、お茶をいれ、雑用をこなし、映画をみていただけのローグは、デ レーン リーに移り、フランス映画を英語に吹き替える翻訳の仕事に就きます。そこでローグは、エディトラ(Editola)と呼ばれる機械を使った吹き替え用の特別なシステムに魅了されることになりました。当時映画の編集には、フィルム編集機のエディトラ、ムビオラ、スティーンベック(the Editolas, Moviolas and Steenbecksが使われていました。現在これらはすべてなくなり、電子編集機に置き換わっています。エディトラを使って、フィルムを前後に動かして見ることにすっかりローグは魅了されたと書いています。エディトラの小さなスクリーンに映し出される映画の映像を見て、「人生は過ぎ去り、そして戻ってくる。誰かが撃たれて、そしてまた立ち上がる」とフィルム走行の正転/逆転の印象を記述し、「私は、ページ上ではなく、イメージ、動画の保持を通して、物語を語る、情報を伝達する(演劇とは)別の方法があることに気がついた」と語っています。映画と演劇の形式の唯一の違いは、映画ではイメージで「語られる」のに対し、演劇では言葉で「語られる」ということだと指摘しています(15頁)。ここで映画と演劇の比較に触れているのは、当時のイギリスでは伝統的に演劇が高く評価されていて、映画ではなく劇場が劇的な媒体であったことに関係します。当時、映画はむしろ軽視されていて、英国人には映画を見下すようなのスノッブな気質があったとローグは(11頁)語っています。そのことに気がついたローグは「映画と演劇とは何の関係もありません。なぜなら、演劇は言語によって動かされるからです」といい、「しかし、映画は言語によって動かされるのではなく、イメージによって動かされるのです」(16頁)と明かします。 “ it’s driven by image. ” このことに気がついたその時の感激がローグの動機となり、彼が映画に手を染める出発点となっていることが伝わってきます。これはつづくセンテンス 「決定的に一番重要なのは、映画を別の物語の表現方法として考え始めたことだ」に現れています。そしてローグは「何かを行うのに正しい方法と間違った方法があるわけではない。 正しい方法と別の方法がある」ということだと主張します。ならば「別の方法に挑戦してみよう」と彼の映画人生がここからスタートします。こうしてニコラス・ローグがまったくのずぶの素人から映画監督への道へ入っていくことになる経緯が記述されるこの章はBiginningsであり、このあと本書は、Image, Sound, Script, Directing, Actors, Producers, Editing, Love Scenes, Mirrors, The Future...と終わり(247頁)まで続きます。Imagesの冒頭は「白黒はカラーとはまったく異なる美学を持っています」という印象的なフレーズから始まり、カラーと白黒に関する彼の哲学が語られます。ずっとこの調子でニコラス・ローグの「映画哲学の声」に随所で出会う本書は、何度も読み返したくなる価値ある一冊となっていて、苦手な洋書ではあるものの、星5つとしました。おわりは〝The Future〝で締めくくられていますが、そこには「私は人生の大部分を、普通が何を意味するかを理解しようと努めてきたが、いまだに分からない」(197頁)と彼の悟りともとれる心の声を聞かせます。
M**N
FANTASTIC -- GREAT MIND AT WORK
It's hard to describe how mesmerizing this book is. For those of you who only know Roeg by his darker films, be prepared to be surprised. This is enlightening and light, lilting and deep, all at once
M**T
This is a must read story for anyone interested in movies and Roeg's journey as a movie maker...........
It's not often one reads a memoir or autobiography with any degree of enthusiasm in the sense of knowing the subject hardly at all by The End!! So, how utterly fantastic to come across this beautifully written and observed book by our most original film maker Nicolas Roeg. From the front cover where we find Mr Roeg beaming at us as Director of Photography on "Far From the Madding Crowd" to the final page accompanying a wonderfully resigned look of Roeg with Donald Sutherland on the set of "Don't look Now" this is a must read story for anyone interested in movies and Roeg's journey as a movie maker.I was fascinated by the thought of Time which occupies him and with which he plays whimsically through the book. Rich in anecdotes and very funny, yet above all, I felt I was in the company of this marvellous character as I turned the pages.I recommend this highly.Sir Timothy Ackroyd
R**S
Roeg's gallery
Lovely book I was expecting Roeg to go through his films chronologically but like his film style it's fragmentary and delves deep into the filming process.
S**Y
Comments on Nicolas Roeg's new book THE WORLD IS EVER CHANGING
Fascinating insight into one of our greatest directors. Not so much autobiographic but more vignettes and observations about his life and love of making movies . Very readable.
Trustpilot
2 days ago
2 months ago